会議は一刻も早く終わらせたい。長い会議はみんな嫌い。そこで、どんなに重いテーマの会議も軽くなる3つのフレームワークがあるという。しかも、誰でも簡単にできる思考フレームなのだ。コミュニケーションスキルのプロが指南する。(内容・肩書は、2017年12月18日号掲載時のままです) 

「ずばり!」と心の中で呟こう

アイデアが出ない、結論が出ないという「後ろ向きな会議」。前向きな場にするには、参加者の発言方法とファシリテーター(進行役)の仕切りを変える必要があります。

まず、会議の参加者に身につけてほしいのが「思考フレーム」です。思考フレームとは決まった型に当てはめて話すこと。これを使って参加者が発言すれば、論点がバラつくことなく、テンポのいい会議が実現します。

世の中には膨大な数のフレームワークがありますが、会議で使うのはただ一つ。「結論・理由・詳細」という3つの項目を使った思考フレームです。この魔法の型に当てはめて話す言葉を組み立てれば、重くて複雑なテーマも軽妙にわかりやすくできます。

たとえば「君はAとBの商品、どちらがいいと思う?」と聞かれたとします。思いついた順に話すと

「え〜、ISO規格のBは品質がよくてですね、この商品カテゴリーでISO規格はBだけなんです。なので私はBがいいと思います」

と論理展開が乱れてわかりづらい。

一方、思考フレームを使えば、

「①私はBがいいと思います(結論)。②品質がいいからです(理由)。③この商品カテゴリーのなかでもBは唯一のISO規格なんです(詳細)」

と自然と考えが整理されわかりやすくなる。発言者の話す内容が端的に伝わって会議の場も活発になります。

この思考フレームを使うのに、私が企業研修や講演で勧めているのが結論(①)の前に「ずばり」、理由(②)の前に「なぜなら」、詳細(③)の前に「それは」と心の中で呟くこと。さらにそれを、日常生活の会話でもできるだけ実践することを伝えています。

たとえば上司への報告。「①(ずばり)今月の売り上げは先月の1.5倍でした(結論)。②(なぜなら)いつもより商品がたくさん売れたからです(理由)。③(それは)10月末のハロウィーン需要の恩恵を受けたからです(詳細)」と応用できます。

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注意したいのは結論部分に複数の要素を持ってこないこと。「今月の売り上げは先月の1.5倍でした。でも、先月の売り上げは先々月の3倍でして……」といろんな要素が入ってくると話がこんがらがってきます。この傾向は「でも」「ただ」などの逆接を会話で多用する方に多い癖です。

もし身に覚えのある人は頭の中にBOXをイメージして、そこに情報を入れていくといいでしょう。たとえば「会議」というBOXなら「複数人で進行役がいて、何かを決定すること」。「ミーティング」というBOXなら「一対一で進行役がいない場合もあり、決定の材料を話し合うこと」といったように、会議とミーティングを表す情報を整理して入れていく。日常生活の会話からBOXを意識すれば要素が入り交じることもなく、思考フレームの精度も高まってくるでしょう。