サイゼリヤの人気メニューに「バッファローモツァレラのピザ」と「青豆のスープ」があります。最初から人気だったわけではありません。「バッファローモッツァレラ」と「グリンピース」を使ったメニューは販売中止の候補に挙がっていたほどの不人気食材。しかし、売れないからといって、販売をやめる必要はありません。じつはサイゼリヤがヒット商品を生むために、戦略的に力を入れているのは、新商品の開発ではなく、既存商品の改良なのです。

商品の売れ方の4つのパターン、それぞれの曲線を見てみよう

いうまでもなく、商品には、売れるものもあれば、売れないものもあります。消費者のニーズにぴったり合って、かつイメージどおりの商品は、多くの人に愛されるヒット商品となります。ヒット商品ばかりを開発することができれば理想的ですが、そううまくはいかないものです。

じつは、商品の売れ方には、いくつかパターンが存在します。

実際に新商品を販売する前には、商品テストを行います。いくつかのお店で試験的に販売してみて、市場の反応を見るのです。

それをパターン化して、図にしてみました。横軸が発売してからの期間、縦軸は販売量です。4つの曲線を、順に見ていきましょう(図13-1)。

まず、パターンAは発売してからすぐに売り上げが上昇し、時間が経ってもその人気が持続しています。これはお客さまのニーズにこたえる、ヒット商品といえます。

たとえば、ミラノ風ドリアはパターンAに当たります。ミラノ風ドリアは発売から長い期間経っても人気が衰えない、サイゼリヤの看板商品です。

また、実際販売してみると、パターンAの商品のなかには、時ときとして予想以上に売れすぎ、生産が追いつかないケースがあります。いったん販売をストップしなければなりません。そして、このストップしている期間、お客さまが待っていられるかどうかが、ヒット商品になれるかの鍵を握ります。

「早く販売を再開してほしい」と商品を待ち望んでいたお客さまも、時間が経ちすぎると別の魅力的な商品に心変わりしてしまったり、待ち望んでいた商品のことを忘れてしまったりするものです。

満を持して商品を大量に生産し、売り出したときにはもうニーズがなくて在庫を抱える、なんてことになりかねません。市場の反応と、生産との時差、遅れが生まれてしまうことを意識しておく必要があります。