イエローハット創業者の鍵山秀三郎さんが自らトイレ掃除を実践し、社内外で掃除を通して奉仕活動しているのは有名な話です。カレーハウスCoCo壱番屋の創業者の宗次徳二さんも、1年365日、朝4時起きで近隣清掃することを習慣にしています。

成功者はなぜ掃除を大切にしているのでしょうか?

融資のプロが「玄関と印鑑」をチェックする理由

私が住宅ローンの融資の仕事をしていたときの話です。当時は、融資する前にお客様の自宅を訪問して面談をするのが一般的でした。

もちろん融資審査は、主に収入証明などの客観的資料に基づいて行われます。しかし、いざ稟議書を書く段になって判断に迷うこともあるものです。そんなとき参考にしていたのが、お客様の自宅の整理整頓具合です。特に私が注意深く観察していたのが以下の2つの点でした。

1 玄関がきれいか
2 印鑑がすぐ出てくるか

1の玄関は、訪問した際最初に目に飛び込んでくる場所ですが、きれいに片付いている家もあれば、そうでない家もあります。靴が脱いだままのかっこうで乱雑に散らばっていたり、自転車や子どものグローブやサッカーボールが転がっていたり。傘立てには、壊れた傘までギュウギュウに詰め込まれていることもあります。このように玄関が片付いていない家は、たいてい部屋もモノであふれ整理整頓ができていません。

そこで2の印鑑です。そういう家の人は、いざ書類に印鑑をお願いしても、「ハンコ、ハンコ。どこだったかな?」とまず置き場所を探すのにひと騒動。やっと探し当てても、どれがどの通帳の印鑑だったかわからなかったりするのです。どれが実印か銀行印かを忘れている人もいます。

この2つの観察ポイントが両方とも赤信号だと、やはりこちらも不安になります。実は、先輩からのアドバイスや経験上、ローンを滞納したり返済不能に陥るのはこのタイプが多かったからです。

部屋の掃除と金運は、どうやら無関係ではなさそうだ――。これが金融マンとしての私が体験的に感じたことでした。