「これ、必達ですか?」上司から目標を設定されたとき、こんな質問をぶつけたことはありますか。自分のチームメンバーを守るためには、上司との率直なコミュニケーションが不可欠です。一見すると失礼な質問でも、上司と良い関係を維持したまま使いこなす方法はあります。

上司とのコミュニケーション不足が「過大な目標設定」を生む

「絶対、無理です」。そう言いたくなるほど過大な目標を上司に設定されてしまったことは、ありませんか。

経営層がトップダウンで決めたのかもしれないが、現場から見れば、そんな目標は非現実的だ。すでに部下たちは手一杯で、これ以上業務を増やすわけにはいかない。とはいえ、上司に「できません」と率直に言えば、「やる気がないチームだな」「チームリーダーの頑張りが足りない」と思われるかもしれない。自分たちの評価は下げずに、目標が無理難題であることを上司に理解してもらうには、一体どうすればいいだろうか——。

そもそもなぜ「過大な目標が設定される」という現象が起きてしまうのか、考えてみましょう。

まず考えられるのは、故意ではないパターン。つまり、あくまで上司が現実的だと考えた結果、目標として掲げることにしたパターンです。この場合、上司とあなたの間には、コミュニケーションエラーが発生しています。

目標はゼロから設定するものではありません。次期の目標を設定する前には、必ず前期の振り返りを行うはずです。チームリーダーのあなたは、まず部下であるチームメンバーと期末に評価面談を行い、一人一人のパフォーマンスや能力を把握します。次に、あなたは上司とも同様に評価面談を行い、チーム全体のケイパビリティや育成、リソースなどについて報告し、課題を共有します。そして上司は、あなたから得たこれらの情報に基づいて、次期の目標を設定します。

よって、もし無茶な目標が突如として通告されたのであれば、上司とあなたの間で、チームの現状や課題がきちんと共有できていなかったことを意味しています。日ごろから上司との円滑なコミュニケーションを図り、チームの状態を正しく把握してもらうことができれば、「青天の霹靂」は予防できるでしょう。