これまでPart 2で学んできたように、売れるべくして売れるのが孫子流営業です。情報の力によって売れるべくして売れる状態をつくっていくのです。
前回は、顧客の判断基準を見抜く方法を学びました。あとは顧客の欲しいものを提案するだけ。営業の最後の詰めを学びましょう。
顧客からの電話やメールでいつも忙しい先輩
では、問題です。
営業部の先輩であるYさんには、毎日、顧客からの電話やメールがひっきりなしに入りとても忙しそうにしています。Yさんは「俺は人気者だから、売り込んだりしなくても売上が上がるんだよ」と話してくれました。あなたはこのYさんをどう思いますか?
A:顧客のほうから連絡が入り、売り込みやアポとりをしなくても成績を上げられるYさんは顧客に信頼されていて素晴らしいと思う。是非見習いたい。
B:たしかに顧客から頼りにはされていると思うが、顧客の言いなりになって振り回されているだけではないか。電話やメールが多いのも、対応が後手に回っている証拠だと思う。
営業側から顧客に連絡を入れたりしなくても、注文が入ったり、質問が来たり、訪問依頼されたりするのは、顧客との関係性が良く、信頼もされている証拠でしょうし、わざわざアポとりなどをしなくても予定が埋まるわけですから、効率も良いですね。
しかし、それで本来やるべきこと、未来のために今やっておかなければならないことができているのかどうかも考えてみなければなりません。顧客からの連絡で動いているだけでは、付き合いのない新規客へのアプローチはできません。顧客からの注文に対応するだけで手一杯になり、忙しく仕事をこなしていると思っていては、営業方針に沿った活動や会社として拡販したい商品を紹介するような動きを余計な仕事のように感じてしまうことになったりもします。
そうは言っても、顧客からの要求や注文に応えないわけにはいきません。どうすれば良いのでしょうか。今回も孫子の兵法で考えていきましょう。