うつ病、不安障害、睡眠障害……医療現場でマインドフルネス瞑想が用いられている。その効果とは。最新の応用例とは。(内容・肩書は、2016年4月4日号掲載時のままです) 

現在、マインドフルネス瞑想法(以下、マインドフルネス)が広まるきっかけとなったのは、医療の世界で治療に用いられるようになったことだ。

実際にマインドフルネスを治療に取り入れているナチュラル心療内科クリニック院長の竹林直紀氏と、日本マインドフルネス学会で理事長を務めている早稲田大学文学学術院教授の越川房子氏に話を聞いた。

内科的な症状にも効果がある

マインドフルネスが治療効果を発揮するものについて、ナチュラル心療内科クリニックの竹林氏は「うつ病や不安障害、睡眠障害など精神的な病気への効果が有名ですが、基本的にはストレスが影響しているような症状や病気にはすべて効果が期待できます」と語る。さらに「食べ物、お酒、タバコなどの摂取量はストレスの影響を受けるので、糖尿病や高脂血症、高血圧などの生活習慣病の改善に役立ちます。また、ストレス性の胃腸障害や慢性疼痛などにも効果を発揮します」(竹林氏)。

もちろん、ストレスが原因でない病気や症状も存在する。ただし多くのケースで、先にストレスを緩和する治療を行うことは、薬を減らすことに繋がるという。「当クリニックでは、基本的に薬を使わずにストレスを自ら緩和する方法を習得することを目標としています。薬は、症状のコントロールが目的であり病気の原因を治すわけではないので、薬を使う場合でもピンチヒッターとして必要な量を必要な期間だけ用いるようにしています」(竹林氏)。

日本マインドフルネス学会の越川氏も「多くの研究結果をまとめたメタ分析の結果は、抑うつや不安に対して中程度以上の効果があることを示している」と語る。

また少年院などで収容者の更生プログラムにもマインドフルネスが用いられているという。越川氏は「非行や犯罪に走る少年・少女は、家庭で虐待を受けているケースが多いんです。特に身体的な虐待の経験が強く残っているために、衝動的な行動をとったり、自分の感情を調整することが苦手であったりする傾向が見られます。こうした傾向を弱めるのに、マインドフルネスが有効です」と説明する。

瞑想や東洋思想などが大きなブームになった1970年代頃から、瞑想を治療に取り入れようという動き自体は存在した。だが、その盛り上がりはいったん沈静化したという。理由は「病気の症例などといった、いわば“ネガティブ”な状態を、集中して瞑想を行うことでどこまで回復できるかという取り組みがなされましたが、明確な効果が出ませんでした」(越川氏)。