会社や組織に属していると、突然の外部環境の変化や人間関係の軋轢などにより、気持ちが落ち込んだり憂鬱になったりすることがあります。また、職場ではどうしても他人との比較や評価にさらされるため、強いコンプレックスを感じる人もいます。そうした「ネガティブ感情」に、ビジネスパーソンはどのように対処すればいいのでしょうか。その根本原因を探るとともに、ネガティブ感情を上手に手放していく方法を見ていきます。
自分本来のリズムが乱れるとネガティブな感情になる
気分が落ち込んだり、憂鬱になったりしてしまうのは、それまでの自分の行動リズムが突然変わることで引き起こされる場合がよくあります。例えば、急な人事異動などで、まったく異なる部署へ異動したり単身赴任をしたりすると、それまで馴染んできた行動リズムや生活パターンなどのバランスが乱れて、ネガティブな感情が生じる引き金になりえます。
環境や仕事内容が変化しても、自分なりのリズムさえ維持できれば、新しい部署で新しいことに挑戦するなど、主体的に意思決定することができます。しかし、行動リズムなどが乱れてくると、自分が何をすればいいのかがわからなくなり、足が止まることがあります。すると、「いままで自分がやってきたことはなんだったのか?」「頑張ってきたのに、なんの意味もなかったのだろうか?」などと思いはじめてしまう。そうして気づかないうちに、感情や思考がネガティブな方向へ進んでしまうのです。
これは、自己肯定感を構成する要素のひとつである「自尊感情」を見失っている状態です。自尊感情とは「自分には価値がある」と思えることです。自分に価値を見出すことができると、仕事においてやりがいや働きがいが生まれます。
しかし、それまで自分が大切にしてきたことに対して「大して意味がなかった」「あまり役に立っていない」と感じるようになると、自尊心が保ちにくくなる。周囲の環境や人間関係が変わることによって、自分が存在する意味が曖昧になっていくと、憂鬱な気分に落ち込んでしまうというわけです。