会社や組織においては、人間関係の問題などに我慢を強いられることで、「苛立ち」や「怒り」の感情を持ちがちです。特に、ミドルマネジメント層やリーダー職の人がそれらの感情にとらわれて正確な判断ができなくなってしまうと、自分自身だけでなく組織の問題を引き起こす要因にもなりかねません。そこで、苛立ちや怒りの意味を探りながら、それらを上手にマネジメントする方法を具体的に紹介します。
小さな不満や不快感が怒りに転化する
怒りには、大きくふたつの概念があると考えています。ひとつめは、オーストリアの心理学者であるアルフレッド・アドラーが述べた「一次感情」「二次感情」という概念です。アドラーは、怒りを「二次感情」とし、その怒りのもととなる感情を「一次感情」と呼びました。
一次感情とは、簡単に言えば、会社や組織のなかでもよく見られる不満や不快感といった感情のことです。「なぜあの人は○○してくれないのか?」「どうしていまになって言うことが違うのか?」「あの人がやってくれたら、わたしはやらなくて済むのに……」というような気持ちは、毎日のように湧き起こります。ただ、こうした一つひとつは小さな感情でも、それらが溜まっていくと、やがて怒りの感情に集約されていくとアドラーは考えました。
一次感情は、多くのビジネスパーソンが職場の人間関係のなかで感じる実感に近いのではないでしょうか。それこそ、欲求不満の状態をずっと抱えていた人が、あるときフラストレーションを突然爆発させ、激しく怒り出すような場面を実際に目にしたこともあるかもしれません。
特に会社や組織では、細かい出来事の一つひとつに怒ったり、感情をあらわにしたりできませんから、なおさら一次感情(小さなフラストレーション)が積み重なる傾向があります。