価格勝負に持ち込まれないために、どうしたらいいか。これは多くの営業の悩みでしょう。そのためには「価値」と「差別化」を両立させなくてはなりません。お客様にとっての商品の価値とは、「ニーズが叶う」こと。つまり「そのニーズを叶えることができるのは私たちの商品だけです」という状態に持ち込めばいいのです。

あなたがいつも「値下げ交渉」をされる理由

「もう少し安くならないの?」
「今はB社さんで、もっと低価格でやっているから、結構です」

こんなことを言われた経験はありませんか? あるいは、値下げ交渉されるのが当たり前だと思って日頃営業している人も多いのではないでしょうか。なぜ「もっと安く」と言われてしまうのか……それは、あなたがお客様に対して、「価値の創造」ができていないからです。

価格勝負に持ち込まれるということは、簡単に言うとお客様から「君の提案する商品、価値ないね」「他の会社でも大して変わらないだろう」と思われているということです。営業の最強集団であるキーエンスの強みは圧倒的な「価値の創造力」、つまり商品の価値をはっきりと気づかせる力にあります。「この商品にはこんな価値があるんだ」とお客様に伝え、「値下げしたい」という気持ちを抱かせないどころか「この価値ならばこの金額を払っても損はない」と感じさせるのです。

私はよく、売上が頭打ちになってしまっている経営者から「今後、どうすれば会社の売上が上がるのか」と相談されます。解決策は非常にシンプルで、取扱商品の販売価格を上げればいいのです。仮に、原価と販管費は据え置きのまますべての価格を2割り上げたら、利益は2倍になります。労力プラスマイナスゼロ、コストもプラマイゼロ、働き方にも影響を及ぼさず、利益のみを増やせる簡単な方法です。

しかし、「ただ、販売価格だけを上げる」と聞くと、多くの営業パーソンは渋い顔をするでしょう。なぜならば「価格だけ上げるなんて、お客様から詐欺だと思われてしまう!」「値上げしたら、買い渋りされてしまう」と考えるからです。実は、このように考える営業パーソンは大きな勘違いをしています。商品の価値を決めるのは「お客様」であり、営業ではないということ。つまり、お客様が価格に対して商品価値を感じれば、それが何円であろうと買ってもらえます。価格を上げた分、お客様の中に、それに見合うだけの商品の「価値」を創ればいいのです。