Part 4では、ターゲットにされたら大火傷する人からうまく逃れて、被害を最小限に食い止める実践的な方法について解説します。かかわると面倒なタイプはいろいろいますが、もっとも扱いづらいのは短気な人でしょう。すぐに感情的になる人とはなかなか建設的な議論もしづらいし、何より理屈が通らないのが困ります。また意味のない怒りだとわかっていても、隣でわめかれるとこちらのストレスも急上昇。今回は、沸点の低いタイプに目をつけられないための防御策を披露します。
上司は代えられないから、その部署から離れる方法を考えるべき
部下のちょっとしたミスや失敗ですぐにイライラしたり、言葉が荒くなったりする人がいます。誰だってミスしたくてしているわけではありませんから、そのあたりは汲み取ってほしいところなのに、反対に目くじらを立て、怒りを露わにする。
なぜそんなに怒りの沸点が低いのでしょうか。一つは、耐性が低いということ。言う通りにやらなかったとか思う通りにいかないと、すぐかっとなる。これは性格なので、こちらにはどうすることもできません。
もう一つ考えられる要因は、保身です。自分の評価をいつも気にして、失点をつくりたくない、自分の部署に失敗はあってはならないとピリピリしている。内心はビクビクしているということでしょう。
じつは私自身、大学にいた頃に、そのような経験をしました。私の経験も含めてアドバイスするなら、うまくやっていこうと思わず、まずその人と心理的に距離を置くことを考えるべきです。
どんなに嫌でも上司とかかわらないわけにはいきません。そこで心理的に距離を置くのです。とにかく期待せず、良い関係になろうともせず、無難にかわすことに徹するのです。それにより少しは冷静になることができます。
それでもどうにも我慢できない場合は、自分とは利害関係のない、他の部署にいる信頼できる上司とか先輩に相談することをお勧めします。その人に「もう耐えられないので、部署を換えてもらえないですか」とお願いしてみましょう。
最近では上司を換えてくれと言う若手もいるようですが、そういう訴え方は思い上がりと受け止められて印象が悪くなります。自分はどこにでも行くから、と訴えたほうが相手も親身に聞いてくれるでしょう。
もう一つのやり方は、ハラスメントとして人事や労務に実情を話し相談するという方法です。日本の会社もハラスメント関連の話題には敏感ですから、事情を聞いてくれるはずです。そのときも、「自分は事を荒立てるつもりはないので、ほかの人の下で働かせてもらいたい」という言い方がいいでしょう。
その後の対応は、組織によって違いますから、まずは組織の出方をうかがうしかありません。部署を換わるにあたって、何か条件を提示されることもあるかもしれませんので、そのときは自分なりの判断をしましょう。
その一方では最悪の場合に備えて、転職先も考えておいたほうがいいでしょう。転職できる目処ができていれば、会社とも冷静に話し合えますし、会社の出方にビクビクすることもなくなります。