倒産した会社の平均寿命は23.3年。一方で、100年以上続く長寿の会社が日本には4万3000社以上もあるといいます。生き残る会社、生き残れない会社の違いとは、どこにあるのでしょうか。具体的に、創業500年以上の歴史をもつ老舗企業の生き残り法を見ていきましょう。
日本は業歴100年以上の老舗会社大国
「千三(せんみ)つ」──。本来、千のうち本当のことを三つしかいわない嘘つきのことを表わす言葉なのですが、ビジネスの世界では「新たに会社が1000社生まれても、生き残れるのはそのうち3社くらいのもの」という、厳しい現実を表わす言葉として使われることがあります。
では、会社の寿命はいかほどなのでしょうか? 信用調査会社の東京商工リサーチが、2022年に全国で倒産した6428件(負債1000万円以上)のうち、創業年月が不明な779件を除いた5649件を対象に調査したところ、倒産した会社の間で見てみると、その平均寿命は23.3年だったそうです。産業別で見ると、最長が製造業の35.7年で、次いで27.9年の卸売業、26.2年の運輸業、23.9年の小売業が続きます。逆に最短は、金融・保険業の12.5年ということです。
22年における日本人の平均寿命を見ると、男性が81.05歳で、女性は87.09歳です。それと比べ、会社の命は何とはかないものなのでしょう。ビジネスの世界の厳しい現実を、改めて思い知らされます。
一方、とても面白いデータがあります。海外の研究機関の調査によると、創業・設立から100年以上経過した会社の数は、2022年時点で全世界に約7万5000社あるそうです。そして、信用調査会社の帝国データバンクの調査によると、業歴が100年を超える日本の会社は、23年9月時点で4万3631社を数えたといい、全世界の数字に占める割合は58.2%にもなります。日本は「業歴100年以上の老舗会社大国」と言えるのです。
フランスのパリに本部を置く、業歴200年以上の会社のみが加入を許される「エノキアン協会」があります。創業者の子孫が現在でも経営者ないしは役員であること、家族が会社のオーナーもしくは筆頭株主であることなど、加入に際しての条件が決められています。同協会のホームページによると、現在は世界各国から56社が加入しています。そのうち10社が日本の会社で、「山本山」「虎屋」「岡谷鋼機」「材惣木材」「ヤマサ醤油」「ナベヤ」「法師」「月桂冠」「赤福」「中川政七商店」が名前を連ねています。