ビジネスを成功に導く最も重要なスキルとは、優れたストーリーを組み立てて、実行する力にあるといわれる。大和ハウス工業の芳井敬一社長は「とにかく台本を書くのが好き」と語る。営業現場にいた頃から、受注までの営業ストーリーを組み立ててメモし、その通りに実行していた。まさに、自分で脚本を書いて演出をしているのだ。それは経営者になった今も、大きなスケールで続いている。「こういう戦略で、こんな人が欲しいとか、この人がこのタイミングでこう言うとか、日々メモしています」。社長は孤独だとよくいわれる。しかし、芳井氏は「僕は独りぼっちじゃない」と断言する。「自分が決めたことに、みんなが付いて来てくれて支持してくれる。そういうときに孤独は感じない」。優れたストーリーによって組織と人を動かし、正しい方向に向かわせる名戦略家、芳井氏の真骨頂が明かされる――。