「モチベーション」とは、わたしたちにとってのあらゆる行動の動機となるものです。仕事の現場であれば、部下の仕事に対するモチベーションを高めることが、パフォーマンスアップにつながり、あなたのチームの業績アップにつながるでしょう。前回の「うさアリ」「うさギリス」に続き、今回は「かめアリ」「かめギリス」のモチベーションの源泉についてお伝えしていきます。
タイプ別マネジメントが目指すのは、「モチベーション3.0」の実現
前回、「うさアリ」と「うさギリス」のふたつのタイプのモチベーションの源泉について説明しました。「うさアリ」は、「失敗したくない」「問題を解決したい」という「リスク回避」がモチベーションの源泉であり、そのために行動をおこすこと。一方、「うさギリス」は「ワクワクすること」がモチベーションの源泉となって、行動の動機となります。
そのうえで、うさぎ系の短距離走者タイプである彼ら彼女らは、リスク回避やワクワクすることを「短期集中で一気に片づける」とき、もっともパフォーマンスを発揮するのです。
こんなふうに、ふたつのタイプを比較するだけでも、モチベーションのあり方は異なります。こうした、人それぞれの内面から湧き出るモチベーションを、アメリカの作家ダニエル・ピンク氏は2010年に「モチベーション3.0」という名前で提唱しました。
簡単に説明すると、「モチベーション1.0」は「生理的動機づけ」という、人間が自然に持つ「生きようとする」モチベーションのことです。「おなかがすいたから狩りをしよう」「子孫を残すために子どもをつくろう」といった動機で、仕事に置き換えれば「生きるために働こう」ということです。
「モチベーション2.0」は「外発的動機づけ」のことで、外部からのアメとムチによって生まれるモチベーションです。例えば、「高いインセンティブがあるから」「昇進・昇格を目指すから」「社長に『次しくじったらクビだ!』と言われたから」というもので、外部からの刺激によって頑張らせるものです。評価制度によるモチベーションアップも、これにあたります。
しかし、「モチベーション2.0」は、価値観の多様化やハラスメント意識の高まりなどから、外部からコントロールしようとすることは困難になっています。
そうした時代背景から、ダニエル・ピンク氏が、いま求められている動機づけとしたのが「モチベーション3.0」であり、これは自分の内面から湧き出る意欲です。組織のなかで自分に合った働き方ができ、自己効用感や自己肯定感を得て、承認欲求が満たされる。そんな働き方が求められているのです。
童話マトリックスによるタイプ別マネジメントの根本は、この「モチベーション3.0」を発動させることにあります。ですからリーダーは、「働きがいのある職場環境」をつくる役割を果たすために、重要な存在なのです。
それでは、前回に続き、「かめアリ」「かめギリス」のやる気のツボと仕事の任せ方を考えていきましょう。