今や、データ活用なくしてビジネスは成立しません。社内でバラバラに管理されているデータを整理・統合して適切なデータベースを構築することが必須になっています。今回は、効率的かつ柔軟にデータを扱えるデータベースを設計し、運用するための、基本的な考え方を解説します。管理職がエンジニアに確認しておくべきポイントとは――。
データ活用なしにビジネスは成り立たない
企業におけるデータ活用の重要性は、いまさら説明する必要もないかもしれません。
Amazonでオンラインショッピングをしていると、まさにいま自分が気になっていた商品がオススメされることはありませんか。購買履歴やインターネット検索履歴などのデータを用いてひとりひとりの顧客の属性やニーズを分析し、「この人は猫を飼っているからキャットフードの新商品を紹介しよう」というように、パーソナライズされた広告を表示しているのです。
インターネット上でニュース記事を読むときは、どのページにアクセスしたかだけではなく、そのページを何分読んだか、ページのどこまでスクロールしたか、その記事からどの記事へ移動したかといった閲覧記録がすべて残ります。サイト運営者がこのデータを分析すれば、「みんなページの下まで読まないから、大事な情報は冒頭に持ってこよう」というような工夫ができます。
ジャスト・イン・タイムやかんばん方式で知られるトヨタ生産方式は、生産ラインのデータを生産量・品質・作業時間などに細かく区分けして追跡し、異常が検知されるとすぐにボトルネックを検証して、改善が目指される仕組みになっています。一方、日産自動車は、ドライバーのドライビングパターンをデータ化することでAIが運転をサポートする自動運転車の開発を進めています。
ホテルに泊まると、「今回の宿泊はいかがでしたか」というアンケートへの回答が求められますよね。これもデータ活用です。
ユーザー満足度や売り上げの向上、生産性の強化とリスクの軽減、新しい価値の提供や市場の選定……データ活用の可能性は計り知れません。