キーエンスの営業の目的は、「お客様の最適な意思決定をサポートすること」に終始していました。しかし、それだけでは商売が成り立たない。ですから、「お客様が最適な意思決定をした結果、自社の商品が買われる」という結果に持っていくことが重要です。ここが、「商品を売ろうとする」二流営業パーソンと、一流の意識の違いです。このミッションを全営業が達成するために、キーエンスには「コンサルティングセールス」のノウハウを徹底する教育システムが存在しています。

キーエンス流「コンサルティングセールス」はここが違う!

キーエンスの営業スタイルは、コンサルティングセールスを基本としています。コンサルティングセールスとは、一般的に「専門的な商品知識を持ったセールスパーソンが、商品の選び方や使い方についてのお客様からの相談に応じながら、お客様の視点に立って商品情報を伝えることで、契約を獲得する販売手法」を指します。

一方でキーエンスの場合、「お客様を成功に導こうとするひたむきな姿勢で接し、お客様に最適な意思決定をしていただくためのサポートをすること」と考えます。つまり、お客様のニーズを叶えることが目的であり、商品を売ることではないのです。とはいえ、商品が売れなければ営業の存在意義がありません。ですからキーエンスの営業パーソンに求められるのは、「お客様が最適な意思決定をした結果、自社の商品が買われる」という形に導くことです。

もしも、お客様が最適な意思決定をした結果、自社が選ばれなかった場合は、営業のアプローチ方法に問題を考えます。次にお客様が来たときにお客様に買ってもらえるようにするためにはどうしたらいいか、最大の努力をして、営業の手順を見直すのです。それでも買っていただくことが無理なら、提案商品自体を変えなくてはいけません。「お客様の要望を本当に満足させるには、この機能が足りない」「今の商品ではお客様のこのニーズを満たせない」という視点から、商品を見直していきます。

まずは自らの営業活動に対し、至らないことはなかったかという自省、自戒をもって振り返り、そのあとには現在の商品に対して、「お客様にはこんなニーズがあったけれども、この商品ではそれを叶えることができなかった」と振り返り、次の商品企画に役立てていく。それをするためにキーエンスでは、営業パーソンがお客様のニーズを引き出すことを重要視しているのです。