コロナ禍からの回復によって、社会全体はあわただしく動き、一見景気が良くなってきたような状況の一方で、「格差社会」がさらに拡がっているという言説も見聞きします。約20年もの間、経済成長できずにいた日本の家計所得を検証すると、「共同貧困」という衝撃の実態が浮かび上がってきます。
値上げしやすい海外との事業を展開する企業は強い
なんとか浮上のきっかけを掴みたい日本経済。全体として予断を許さない状況が続きますが、その中で業績好調の企業もあります。
直近のデータを見ると、コロナ禍からの回復を受けて運送、特に空輸関連が伸びています。ほかに医薬、化学関連も悪くはありません。
さらには、アメリカの投資家ウォーレン・バフェット氏が株を買った商社の業績もいい。商社は資源高と円安の恩恵を受けていて、株価も高値を更新し続けました。
食品業界も好調ですが、これは、インフレで上がった仕入れ価格を価格転嫁できているからです。食品業界の中には、海外に卸しているところがたくさんありますが、日本同様にインフレが続いている海外に対して価格を上げて利益を出している。
商社にしても食品にしても、海外で事業をしている、あるいは海外と絡んだビジネスをしている企業は好調というわけです。
もうひとつ、全体としては弱い半導体産業の中に、90%とか95%のシェアを持つ企業があります。半導体製造装置などにおける先端技術を有する企業で、グローバル・ニッチと呼ばれていますが、こうした企業は今後伸びる可能性も高いと思います。