世界各国では上がり続けている「平均賃金」。しかし、この25年間、日本の賃金はほぼ横ばいとなっています。。賃金は労働市場の需要と供給のバランスに左右され、労働生産性とも大きく関わる指標です。今後の日本経済の動向を読み解くのに最も重要だと言われる「賃金」について説明していきます。

各種の経済指標を見れば日本の経済状況は悪くない

我々経済学者はよく政府の月例経済報告を参照しますが、2023年1~3月期期の実質GDPは1.6%増で、3四半期ぶりのプラスになりました。なぜ良くなっているかというと、消費が伸びているのです。

コロナ禍からの回復によって、外食産業や旅行産業などのサービス関連が伸びており、また、自動車の販売も伸びています。コロナ禍で半導体の供給が滞ることがありましたが、今はそれも解消しています。

その自動車業界では、特に高級車が販売を伸ばしています。1台1000万円以上するような高級車の実績も、この3月、4月はとても良かった。こうして個人消費が回復する中で、企業の設備投資も拡大してきています。

貿易収支を見ると、輸出はまだ十分に回復していません。ただし、日本の場合はインバウンドの消費が輸出にカウントされます。インバウンドはコロナ前にかなり近いところまで回復してきています。

さらに、3月期決算では上場企業ベースの純利益も過去最高となりました。これらのことから、各種の指標から見た現在の経済状況は、悪くないと言うことができるでしょう。