円安、不況、スタグフレーションといった状況の中で、商社や資源銘柄に注目が集まっています。また、日本の半導体産業には、地政学的な優位性が生まれていると言われています。私たちの資産は今後、どのようなポジションを取ることが求められるのでしょうか。

インフレで株価の上がる業界は昔も今も変わらない

スタグフレーション(不況下のインフレ)という状況にも強い業界はあります。株価から見てみると、上がっているのは不動産銘柄や金融株。それから商社です。インフレのときには実物資産にお金が集まるのは基本中の基本。そして、後に詳しく説明しますが、商社は今、事実上は資源会社となっています。

このインフレによる相場を理解している人たちは不動産や銀行株をすでに仕込んでいたでしょうから、今、インフレが進んで読み通りになったと思っているでしょう。しかし、これを理解していない人の中には、きっとバブルだからいずれ価格は暴落すると考え、空売りをする人も出てきます。しかし、インフレのときに空売りをして、株価が上がり続けたら大損することになります。ここは、状況を正確に見極めたいところです。

逆にインフレなのに株価が上がらない事態も過去にはありました。1970年代のアメリカで起きたスタグフレーションでは10年間で物価はおよそ2.5倍になったのですが、ダウ平均を見るとほぼ横ばい。これは、株の価値が半分以下に暴落したことを意味します。

株価に変化がないので相場も安定していると投資家が勘違いをした結果、長引く不況下で株式資産の価値が半減した。そういう恐ろしいこともスタグフレーション下では起こり得るのです。日本もそのとば口に差し掛かってきているように思います。