日々のビジネスにおいて、これまでやってきた方法だから、と十分に検討せずに決定していることはないでしょうか。あとから「この方法で本当に正しいのだろうか」と不安になっていては、全力で実行に移せません。

迷いを消すためには、選択肢評価による情報整理が役立ちます。さっそく見てみましょう。

後悔してからでは遅い

日々のビジネスの現場で、次のような場面に遭遇した経験はありませんか?

例えば、人材マッチング会社のA社。新しいマッチングサイトの開発パートナーを選ぶ際に、選択肢の検討が不十分で、当初の想定よりかなり高額の開発費を支払う結果になりました。しかも開発は遅れ、サイト自体の質も満足がいかないものの、これ以上遅らせられないために妥協せざるを得ない状況です。きちんと選ばなかったせいだと、経営者も事業責任者も悔やんでいます。

また、中堅証券のB社。突然の退職によって空席になった営業部第一課長への人選で、選択肢をきちんと検討しなかったせいで、リーダーシップも営業力も見かけ倒しだった人物を任命してしまいました。当然ながら、職場の士気は下がり、生産性も大きく低下してしまいましたが、すぐに交代させるわけにもいかず、営業本部長はやきもきしています。

さらに、大規模なDXカンファレンスを主催したDXコンサルティング会社のC社。会場選定において複数の選択肢を十分に精査しなかったため、当日は予想以上の人出に対応できず、参加者からは苦情が殺到しました。講演には定評ある登壇者を呼んではいたものの、結果的に参加者の満足度を大きく落とすイベントになってしまいました。何のために多大な費用と時間をかけて開催したのか、リーダー間で責任を押しつけ合う不穏な空気が流れています。

最後に、総合商社のD社。本社ビルを建てるべきかどうかの選択肢を十分に検討せず進めてしまい、本社ビルと同等以上の賃貸ビルを比較的安く借りられたことが、後からわかりました。本社ビルの建設ありきで突っ走ってしまった結果です。本社ビルを建てた企業の多くがその後低迷するというジンクスがまた一つ証明されたようです。