第1話で 話題の対話型人工知能(AI)「Chat(チャット)GPT」を使った情報収集について解説しましたが、今回はChatGPTを使った情報整理についてご紹介します。
ChatGPTは使い方によっては中途半端なアウトプットの山を作ってしまうなど、仕事を増やしてしまう側面もあります。速く、正しく、迷いない決断へ導くための、ChatGPTを使った情報整理のコツを考えます。
なぜ中途半場なアウトプットになったのか
大手商社のA社の経営企画室では、鳴り物入りでChatGPTの導入が始まりました。NHKでの特集番組を見た社長がすっかりその気になり、まずは本社組織での使用を決定したためです。手始めに30人からなる経営企画室全員が使い始めたのはいいのですが、ChatGPTで何ができて何ができないかについては、誰も深くは理解していない状況でした。当然ながら、情報の整理はまったくされず、むしろ中途半端なアウトプットの山ができ、仕事はさらに忙しくなってしまいました。情報整理の質は落ちたと思われます。
上場企業B社の人事部門の上司は、ChatGPTに夢中になっている同僚の話を真に受けて、ChatGPTを使えば多くの仕事はすぐに片付くだろうと勘違いしてしまいました。かなり盛った話を聞いて信じてしまったのです。その結果、退職、転職などで部署に欠員ができても、採用を進めてくれようとはしなくなりました。仕事量を減らすどころかむしろ増やしてくるようになったのです。
人材紹介業大手のC社では、上司がChatGPTの結果を鵜呑みにして、役員会に資料を提出してしまいました。ChatGPTの限界を知っていた部下は止めようとしたのですが、上司が「いいから、いいから。これ、中々面白い分析じゃないか」と一蹴した結果です。資料の何ページかには、もっともらしい分析が記されていましたが、少し考えてみると意味の通らないことが明白な内容だったり、事実と反する記述があったのです。当然、役員会で見逃されることなく、突っ込まれてさんざんな結果となりました。