「ビッグマック指数」をご存じでしょうか。世界中のマクドナルドで、同一メニューとして売られているビッグマックの販売価格を指数とすることで、その国や地域の購買力や経済力を測るという取り組みです。イギリスの経済誌「エコノミスト」が毎年、指数として世界のビッグマックの価格を発表しています。今回は、そんな指数のお話。さらに、年間を通じて商品の売れ行きや売れ方を予測するための「季節指数」について、サイゼリヤの事例をご紹介します。
「ビッグマック指数」で、国や地域の購買力や経済力がわかる!?
2000年に43歳でサイゼリヤへ入社して以来、私はアメリカのロサンゼルスでの「定点観測」を行ってきました。飲食店やショッピングモールを回り、なかでも毎年行くのを楽しみにしていたのは、世界最大のディスカウントストアであるウォルマートです。
ウォルマートは行くたびに、置かれている商品ががらっと変わっています。
目玉商品といわれていたものが店頭から消え去っていたり、数年前は百貨店で売られていたような高級商品が、品質はそのままで、価格が5分の1程度で並んでいたりする。商品だけでなく価格も、行く年によって変わっていました。
こうした調査をするとき、これは高い、これは安い、などと判断するためには、基準となる「指数」が重要となります。指数とは、物事を評価する際に基準となる数値です。指数はどんな状況でも“変わらないもの”が適しています。
たとえば「ビッグマック指数」をご存じの方は多いかもしれません。世界中のマクドナルドで同一メニューとして売られているビッグマックは、どの国・地域でもほとんど同じ品質でつくられています。そのため各地域のビッグマックの販売価格を比較することで、その場所の購買力、経済力がわかるというものです(図16-1)。
同じように、それぞれの地域の経済状況を見るとき、タバコや新聞の価格も指標とされてきました。