三井物産の安永竜夫会長は30~40代にかけて、化学や石油など世界中のプラント案件を手掛け、現場の先頭に立つプロジェクトマネジャーとして、各国政府や国営会社などと渡り合ってきた。押し出しの良さと十分な貫禄は、多くの修羅場をくぐり抜けてきた経験を物語る。「大きな感じがする。今の商社マンのイメージを作っている方の一人」と経営学者の楠木建氏は評する。「修羅場に強く、交渉負けしない」と社内で評された‟剛腕商社マン”安永氏がミドルの時に経験した、自らのビジネス人生の中でも屈指の修羅場とは? 逆境の連続だったプロジェクトをどう動かし、勝利を手にしたのか? 日本独特のビジネスである「総合商社」で働く面白さと、醍醐味について楠木氏が掘り下げる後編。