20年近く、ラジオ番組のパーソナリティを続ける石渡社長。スタート時には、短い時間で熱意を伝えた会話が功を奏しました。ビジネスの場での実践的な言葉の使い方をお伝えします。(2024年5月6日レター)

私は、2006年よりニッポン放送でラジオ番組『看板娘ホッピーミーナのHoppy Happy Bar』を続けています。19年目を迎える今年3月で、4700回を突破しました。私がこのラジオ番組でパーソナリティとして語り始めたきっかけには、ホッピーのイメージを一新したいという強い想いがありました。

ちょうど2006年の4月から新卒一期生を迎えることになり、「若い世代にメッセージを届けたい」と考えていたんです。番組にタレントを起用しなかった理由は、不祥事に左右されないこと、費用対効果を考慮したことがあります。

しかし、最大の理由は、自分自身の声で、ホッピー応援団の皆様にホッピーの魅力を直接伝えたかったからです。ブランドを認知していただくためには、自分の言葉で、生の声で伝えることが大事だと考えました。

この番組がスタートするきっかけは、たまたまニッポン放送さんの『朝はニッポン一番乗り』にゲストとして呼んでいただいたことでした。これは二度とないチャンスだ! と考え、収録後、営業担当の方に「番組をやらせてください!」と訴えたんです。それもエレベーターの中でした(笑)。

エレベーターに乗り合わせた短い時間で自分の想いを伝えることは、「エレベータートーク」や「エレベーターピッチ」と言われますね。エレベーターを降りるまでの数十秒の間に、この機会を逃さずに、伝えたいことを訴えようとするのです。後日手紙を送るよりも、熱意が伝わります。まずは扉を開けなければいけませんから。

数十秒の中身は、「新卒採用を始めるにあたり、若い世代にメッセージを伝えたい。ついてはなんらかの形で番組をさせていただきたいので、ご検討ください。詳細は、代理店から連絡してもらいますので、どうぞよろしくお願いします」ということだったと思います。無我夢中でしたので、あまり覚えていません(笑)。その後すぐに代理店に電話をかけて説明し、翌週には第1回目の収録が決まりました。

エレベータートークでは、相手の心にわずかでもいいのでフックを掛けて、次につなげることを意識しています。「お話しする機会をいただけますか?」、あるいは「あらためてご連絡を差し上げます」など、もう一度会う口実を残しておくことです。

上手に話せなくてもいいのです。「こうしたい!」という情熱を、その場でぶつけるのが目的です。その場で今すぐに訴えようとするからこそ、本気度が伝わるのだと思います。

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